生活の片隅からこんにちは。皆さま日々生きておりますでしょうか。古屋敷は生きております。
さて、世間は新型肺炎の禍のもと様々な不自由や変化などにみまわれておりますが、私も同様に色々予定や予想や計画に変更を余儀なくされております。
今年、5月と6月、二本の舞台に出演予定ですが、その内5月に出演予定だったアガリスクエンターテイメントの公演が延期となってしまいました。
『かげきはたちのいるところ』と言う劇団結成15周年の記念すべき公演でして、そこにゲスト出演させていただけるという光栄な仕事だったんですが、やむを得ず延期です。
しかしあくまで延期は延期、ということで来年の春ごろに(その時の情勢なども鑑みて)公演をする予定に変更、ということでして、その暁には私もまたゲスト出演する予定です。
予定、ではあるんですが。あくまで予定。
もっとざっくばらんに言っちゃうと、この予定は多分に希望的観測が込められた願望のようなものだと第三者的にはちょっぴり思ってます。
何しろ、一度やる予定だった公演を数か月前に全部ストップして中止するというのはめちゃくちゃ大変なのです。その補填、立て直しが一年で出来るかどうか、ちょっとわかりません。アガリスクの存続自体危ぶまれてんじゃないかと外野から心配しております。
すでに動き出していたセクションへの連絡や支払い、事前準備で必要だった宣伝や事務作業の精算、劇場へのキャンセル連絡とキャンセル料の交渉などなど……。
よりみなさんに想像しやすく言い換えると結婚式や講演会などが数週間前に中止になってしまった事態を想像していただくとわかりやすいかと思います。
もしくは部署をあげての大きな契約の数日前に仕事の話自体が無くなってしまい、それまでの見積もり作成やシステム整備、打ち合わせや接待、根回しなどすべてがパア、というような状況。
どんな仕事でもそうですけど芝居も、公演期間、公演本番だけにお金や労力がかかっているわけじゃないということです。
そんな中、アガリスクエンターテイメントでは今回の公演中止に伴う赤字補填と次回の同公演に向けての資金集め――いわゆるクラウドファンディングを始めました。
まずはこちらをご確認いただきまして……。
アガリスクエンターテイメント『かげきはたちのいるところ』
公演延期支援プロジェクト(モーションギャラリー内)
https://motion-gallery.net/projects/agarisk_28
わかりやすく言うと、1000円、4000円、7000円、10000円、30000円、50000円、100000円、の7段階の金額的支援を募集しております。
もちろん「 リ タ ー ン 有 」です。
支援金と引き換えに、サポーターとしてのお名前の記載や劇団Tシャツから登場人物の命名、新作コントの作成依頼などなど……のリターンを受けられます。
金額以外にリターン内容でも各支援プランが分かれてますんで併せて10通りの支援プランの中から皆様の懐事情と物好き度に応じた支援をお選びいただけます。
もし目標金額に達しなかった場合も劇団がもらえる割合が変わるだけで一助にはなりますので無駄な支援になることはありません。
また、クレジットカード以外にも銀行振込、コンビニ決済も対応しております。
5月29日の日付が変わるまで、これより約ひと月の間支援募集しておりますので、どうか皆様、お力添えをいただければ幸いです。
またアガリスクエンターテイメントはYoutubeにて多数の公演動画を無料配信しております。
「知らない人たちになぜお金を……」という方はこちらを何本か観てみて気に入ったらおひねり代わりに、というのはいかがでしょう(ちなみに私が出ている公演も観られます)
https://www.youtube.com/user/AgariskEntertainment/videos
また、4月29日以降今回の公演の試作版をネットを介して発表するそうです。
そちらをチェックしてから「面白そうだな」とポチっていただくなどもいいかもしれません。自粛中の娯楽としてお楽しみいただければと思います。
創作継続のお知らせと詳細
http://kagekiha.agarisk.com/category/blog/news/
もちろん様々な事情や……あと単純に、こいつら誰やねん、こっちも大変なんじゃなんでお前らに金渡さなきゃいけないんじゃ、というご意見や……色々あるのは重々承知ですので、お金云々ではなく、こういうことが東京の片隅で起きたらしい、程度に認識していただくだけでも結構です。
プロジェクト支援じゃなくても情報拡散でもだいぶ助かります。
よろしくお願いいたします。
↓以下はもうちょい細かい事情や僕の思う所など、余韻です。
「延期なのになんで金必要なの? 延期して公演打つならその時の儲けで賄えばいいじゃん」という意見はあるんじゃないかな、と思ってます。
これは上でも説明した通り、公演本番だけにお金がかかるわけじゃない、というのを想像していただければわかりやすいかと思います。
延期する、と言っても、話の内容が同じだけで公演自体はまったく別の独立したプロジェクトです。必要な作業、費用はまったく別途にかかってくるわけです。
「A社との契約ダメになったから、この契約まんまどっかの会社と結ぶか、そうすりゃあ一本電話してそのまま契約日だけ決めてあと終わりだ」
とは普通の仕事でもならんのじゃないのかな、と思いますが、どうなんだろう、なる場合もあんのかな。……あんのかもな。
もしくは「結婚式の準備全部済んだ状態で婚約者に逃げられたけど、式当日までに別の相手見つけてそのまんまのプランで結婚すりゃあギリ行けんな」という場合とかも似てますけど、これはまあ、別にいけますね。いけちゃうな。そしてまあ有り得そうでもあるな。
でもまあ、普通に考えると、宣伝とか、稽古とか、事前の広報とか全部やり直しなんで、一公演分の儲けで二公演分を賄うというのはよほどあり得ないグッズの売れ行きなどにならない限り不可能なんです。……できんのかな。そういうプランありますかね。みんなに教えてあげて。
「お前らが金蓄えとかなかったからいけねーんじゃねえか、そもそも小劇場の経済というのが根本的に間違っていて……」
「一つ公演トンだだけで弱音を吐くんじゃあないよ、根性だよ、橋の下でも芝居はできるじゃあないか」
「みんな辛いんですよ、なんであなたたちだけそういう風にお金を集められるんですか」
……などと言う心温まるアドバイスも、もしかしたら、いただけるのかなと思います。ありがとうございます。勉強になります。人生日々勉強ですね。ありがとうございます。勉強します。世界のあっちの隅とこっちの隅で共に頑張って生きていきましょう!
「なんでお前の劇団じゃないのにお前がこんな宣伝してんの? やらされてんの?」
という素朴な疑問もあるかと思いますが、これはまあ僕が勝手に宣伝していて、理由は打算とエゴです。
今のところ、俳優古屋敷をわりかし気に入って使ってもらってる数少ない(と言うよりほぼ唯一の)劇団なんでアガリスクなくなると僕結構困ります。あとは単純に面白い劇団に少しでも生き残ってもらわないと嫌だからです。
なので他の劇団や映画やライブハウスなどのクラウドファンディングも本当は僕はどんどんこんな風に宣伝しなきゃなんですけど、いかんせん根が怠け者なんで、まずは自分に関わりが大きいところからがんばって宣伝します。
……すいません嘘です、あんまりがんばってないです。逃避入ってます。でも界隈の人以外にこういうのを発信すること、大事よな、とは思ってます。
「そもそもこの緊急時に不要不急で三密まっしぐらの演劇についてうだうだ……そういう状況じゃないでしょう」
ごもっとも……ごもっともでござる……! ぐうの音も出ない……!
ちょっと話は変わるんですが僕は今回の騒ぎにおいては「やらないこと」が最大貢献であることが一番色んな人を不安にさせてるのかな、と思ってます。
多分これ、「みんなが一日一回〇〇する」とか「〇〇を出来るだけ集める」とかならみんなもう少し前向きになれると思うんですけど、いま基本的に「外出しない」「人と会わない」ことが市井の人向けの最大貢献なわけじゃないですか。
やれることがあって、それを頑張れるとなんとなく充実感とか立ち向かってる感とか生まれると思うんですけど、「何もしない」ことが一番と言われて、ただなんとなく感染者数とか経済の先行きとを眺めているしかないと、めっちゃ不安になると思うんですよね。
やっぱり、今こそなんかしなきゃ、と思うんですよ。
それで今色んな試みや呼びかけや今できることの議論や……本当にたくさんの人ががんばっているんですけど、でも同じくらい大事なこととして「少し先のことを考える」ということも大事だと思うんです。
この非常事態は日常へとシームレスにつながっていきます。いつか、ある日を境にすべてが大丈夫になることはない、そういう種類のものなんだと思います。
これから少しずつ日常の形が変わっていくはずです。
その変わった先、日常が変わったところで何が起きるか、何をするか、ということを考えたり話したりすることも、とても大事だと思います。
なぜならば、世界が変わっていくのに自分だけ元の世界に戻ることを願っても生き辛いだけだからです。
この騒ぎの前には社会は戻らないので、ちょっと先のことを話そう。体と頭を馴らしておこう。
こういう姿勢大事です。少なくとも僕はそう思います。
「こんな事態に馴れてしまっていいのか」とは僕も思うときあるんですけど、油断せず、しかし馴れていいんだと思います。むしろ新しい生活に馴れていくべきなんです。
今回の「公演延期」というのはそういう意味でも、色んな劇団でこういうことが起きてますけど、それぞれが考えて、その中で出した「今できるちょっと先のことの答え」としてすごく重要なことだと思います。
いつかわかんないけど、やります。
というのは即ち、
いつかわかんないけど変わってしまった世界の中でやろう、という決意だと思うんです。
それぞれに状況は変わるけど、もう一度集まる約束として公演を掲げる、というのは、やる人にとっても見る人にとっても大事な「ちょっと先のこと」だと思います。
「今は今後の娯楽について話している場合なんかじゃない」ごもっともなご意見です。他にももっと、今やること、目の前のこと、考えるべきこと、あると思います。やれるかどうかもわからない延期公演の話なんて、その中では優先順位は多分、低いです。
でも僕は個人的に「ちょっと先のことを話す」ということもまた重要だと思っていて、その内の一つとして、僕個人の、この騒ぎを抜けた先の「ちょっと先の決意」としてこのクラウドファンディングを宣伝いたします。
あくまで個人的なもんです。殊更これが絶対的に正しいと思ってるわけじゃありませんし、もっと大事なことはたくさんあると承知しております。
ただ、休業自粛しても飲食店はもし再開できたらどんな料理を作るか考えていると思いますし、ボディビルダーたちはジムで思いっきりマシンをブン回すことを夢見ていると思います。そういう、この先のことを抜きにして人はなかなか踏ん張れないもんです。大げさに、希望、と言ってもいいのかもしれないです。
僕は僕の今の踏ん張りとしてこの「ちょっと先」に向けての話をさせていただきました。
こういう人もいるんだなあ、と思っていただければ幸いです。