アナタサヨナラテポンポン

古屋敷悠と森宇悠の暫定的ブログです。

地図はいつも虫喰い

 今年はずうっと自転車に乗ってました。

 

 2月に自転車を買ったんすよ。

 所謂スポーツバイク。クロスバイクというやつで、ママチャリよりは快適で速度も出るけど、ロードバイクには追いつけないという程度の自転車。

 

 購入した時期にはまだまだコロナウィルスについては「外国での疫病流行が拡大しつつあるみたい」程度の温度感だったので、べつにその後に訪れる緊急事態宣言や交通機関使用の自粛などを考えての行動ではなく、ただなんとなく「運動不足解消に新たな通勤手段として使えるかなー」としか考えてはいなかったんですが。

 

 まあーまんまとハマりました。

 今まで生きてきて何かにハマるということがあんまりなかったんですが、現在進行形で沼を進んでおります。

 

 もっと早くこの趣味に出会いたかったとも思うけど、でもおそらくは東京へ出てきて十年ぐらいという今の時期にのめり込んだのが良かったんでしょう。

 

 自転車の良いところは、なんと言っても出発点から地続きに目的地へと行けることだと思います。

 

 家を出て、自転車に乗り、見慣れた町を通り、やがて新しい景色へと進んでいき、辿りつく。自分の世界を、生活圏を拡張していく感覚。

 

 電車やバスによる、ドアからドア、駅から駅への移動ではなく、いま自分がいるところと、いずれ自分が行くところが道をたどるときちんと結ばれるところに、自転車で進む気持ちよさがあります。

 

 今までの自分の頭の中の東京の地図は、自宅→最寄り駅、目的地の最寄駅→目的地、そして目的地周辺……という構成で、その間がすっぽり抜け落ちた小さな地図ばかりが点在していました。

 そのせいか僕は十年ちょっと東京に住んでいていまだに地理に疎い所があるんですが、それが自転車に乗るようになって急激に変わっていってます。

 

 頭の中の空白が埋まって、小さな地図の組み合わせが大きくつながっていく感覚。それはちょうど、脳の中で一つ一つの情報がつながってより強固な記憶になるのとリンクしています。

 

 昨日は通らなかった道、今日まで知らなかった町、いつか通った道、どこかで見た景色、そういうものがつながって一つの地図が出来ていく感覚。

 

 クイズを解いたり、調べ物をしたり、プラモデルを作っていくような、欠落が補完されて完成形へと近づいて行くような快感があります。

 

 しかし、街も世界も動いているもんで。

 今日は通れた道が明日は通れなくなるということも、ままあります。

 昨日まであった景色がどこかへ行ってしまうこともあります。

 

 それでもまあ、その空白にはすぐにまた別の景色が上書きされますし、新しい道が出来ますし、そうなったらそうなったで地図は形を変えていくのでしょう。

 

 おそらくは完成することのない頭の中の地図を埋めるべく、来年も自転車を乗り回せればいいなと思っております。

 

 そんな感じです。