というわけで『ひとりの太字』もとい、ひとりで二人芝居の作り方をつらつらと書いていく。
こんな動画をつくるためのアレコレです。
本編
予告編
○稽古の前準備〇
所要期間:一か月ぐらい
必要な機材:録音機材(スマホで可)、イヤホンもしくはヘッドフォン(片耳だけで聞けるモノを推奨)
1、台本を読む
当然と言えば当然なんですが、稽古前にまず台本を読みました。
そもそもこの企画の起こりは、すべての本番が疫病によって中止になってしまいぽっかり心も体も空いてしまったので、いたずらに時間を浪費しないよう自主稽古をしてみる、というところから始まりました。
なので、まだこの段階では明確に二人芝居を一人でやろうという意図はなく、適当に台本読んで「やれねっかな~」と鼻ほじってたぐらいでした。
ただ、台本を読むときのクセで、このときになんとなくの演技プランを練っていたので、そのおかげで後々少しだけ作業がスムーズになりました。台詞の間尺もなんとなくあたりをつけておきました。
これらが後の工程でめちゃくちゃ重要になります。もしやろうとしている方がいるなら漫然と通読するのではなく是非そうしてください。
すべての稽古の大前提ではありますが、こと独りでの稽古においては、ノープランは全くの無意味です。ノープランで稽古始めるぐらいならやらない方がいいと思います。
台本を繰り返し読むうちに「やれねっかな~」と適当さを装いつつも、無意識のうちに「やれるなあ……」へと段々と思考が変化していきました。
2、音読
台詞を音読してみました。
どちらかの役の台詞だけを、ではなく、台本全体を一人で読むという作業です(っていうかこの先ずっと一人で読む作業しかないんですけどね)
間や、動き、テンポなどをしっかり本番の域で読んでみるというのを意識しました。
これは前工程で演技プランと間尺のあたりをつけておいた、というところにも関係するのですが……。
まだこの時、僕はどうやって稽古していくかの明確なイメージを持ち合わせていませんでした。
とりあえず、録音したセリフに合わせて相手役のセリフを発話すればどうにかなるんじゃねえかな、という漠然とした流れしか考えていません。
ただ、演技については完全に決め打ちになるだろうということはハッキリ確信していました。当然ながら、録音した素材を使うので、普通の芝居のようにその時々によって反応が変わるということは有り得ないだろうな、という考えです。
なので、まあ、稽古の早い段階で演技を固めて、あとはそれをいかに録音と合わせるかをひたすら稽古していくという……会話劇の稽古と言うよりは、ダンスや振付を覚えるのに近くなっていくのかな、となんとなく考えていました。
……後々それも甘い読みだったと気が付くんですが。
3、全体音声の録音
2で練習した台本の音読を録音しました。
何テイクか録ってもいいと思いますが僕はここは1,2テイクくらいで終わらせました。
あくまでこれは稽古前段階の素材でしかなく、ある程度で妥協して先は進まないと、ということです。
このころはまだ録音機材が無かったのでスマートフォンに録音しました。
まだ稽古はできませんでした。
4、部分録音①
3で録音した全体の音読をイヤホンで流しながらそれに合わせてどちらかの役だけを演じ、音声を録音をします。
どちらの役から始めるかは自由です
これは慣れないと結構大変かもしれないです。
ひとつの役だけに集中してちゃんと読むと、二人分を一度に読んだ全体音読とは間尺が変わると思います。
なのでイヤホンから聞こえてくる全体音読と、自分の発話しているセリフのタイミングが、結構ずれます。
早すぎたり、遅すぎたり、間があったり、台詞が潰されたり……それでもちょっとしたずれであれば気にせず、突き進むことをおすすめします。芝居としてつながっているとか、ミスとか、そんなことは気にしないでいいです。あくまでこれは稽古素材。
……以上でやっと前準備は終わり。
どうです、ここまででもうだいぶ面倒だなあ、と思い始めたでしょう?
まだまだ、こんなもんじゃないです。
さて、いよいよ稽古を始められます。
始められます?