アナタサヨナラテポンポン

古屋敷悠と森宇悠の暫定的ブログです。

ひとりの太字の作り方4(果て無き微調整)

 どうもどうも、お久しぶりです。

 

もうお久しぶりすぎて忘れちまってると思うんですがね。

 

 こういうことをやってたんすよ、ぼかあ。

 

 

youtu.be

 

www.youtube.com

 

 

 というわけで、『ひとりの太字』再公開ということになりました。

 

 快諾してくださった冨坂さんには足を向けて寝られねえよ……。

 

 もうお前、それ、お前何年前の、それをいつまでお前、おい、こすり続けるんだというご意見はまあございますでしょうが……結局途中で止まってしまったこの作り方の解説も、きちんと終わらせなきゃいけないなとは思っていたし……これを機会に改めてご覧になってくださったら嬉しいっすよ。

 そしてあわよくばバズりたいっすよ。生まれてから一度ぐらいバズってみたい夜がありますよ。なんかそんなようなことは中島みゆきも歌ってましたよ……。

 

 

 というわけで、作り方の解説、続きです。本当にお待たせしました。

 

 前回はこちらをご参照いただき……。

 

fullyashiki.hatenablog.com

 

 

 さて、ようやっと目の前に片方の役の音声だけが入ったデータができあがりました。

 

 簡単に言っちまえば、これからはこの音声に合わせてもう片方の役をひたすら稽古していく×2役分、という、ただそれだけなんですが……。

 

 

 馬鹿め!(当時の俺が) ここからが地獄だ!

 

 

 

【稽古一段階目】 間の調整

 

所要期間:ひとつの役につき1週間、交代して1週間、の繰り返し……。

使用機材:スマートフォン(再生、編集用)もしくはノートPC(再生、編集用) 

 

 セリフ音声にあわせて稽古をしていくうちに、その時演じている役の演技は変わっていきます。

 スピードや濃淡や強弱や……様々な解釈、感情、アプローチを試していくのが稽古なのですが……残念なことに録音音声はそれに合わせて変わってはくれないのです。

 

 これが通常の稽古であれば、例えば台詞の調子を速くしたら、相手もそれを受けてペースを上げるとか、それに負けて逆に途切れがちになるとか……勝手にいろいろ変化してくれるもんなんですが、今回はひとりなんでそれは起きないです。

 

 どうするか?

 

 自分で調整するしかないんです。

 

 

 例えば、

 

「どうしろっていうんですか!」

 

というセリフがあるとして。

それを色々試行錯誤して

 

「……どうしろっていうんですかあっ!」

 

という発声にした場合、はみ出した分の「……」と「あっ」の分だけ、相手役の台詞の始まりを遅くします。

 

 

もちろん常に遅くするばかりではなく。

相手の台詞が自分の台詞の途中で始まってしまう状態(いわゆる、台詞を「食う」という状態)の場合は相手の台詞を遅く……逆に相手の台詞までに不自然に無音が続く場合は、相手の台詞を早くする……というような具合ですね。

 

あまりにも間尺が合わない場合はその台詞だけ録りなおしたりもします。

 

こう書くと異常に細かい作業に思えるかもしれませんが、とは言っても、ある程度演技経験のある方なら稽古していて自然に「ひと間はやいな」「ふた間遅いな」という感触はわかると思うので、ある程度はやや機械的というか、その感触通りにセリフ音声を編集していくだけ、という部分もあります。

 

ちなみにこれは僕の体感ではあるんですがひと間=0.5秒と考えると、大体うまくいきました。だからなんなんだよ、って発見ではあるんですが、まあ、発見でした。ひと間は0.5秒。参考にしてみて下さい。

 

 

ちなみにこれらの編集、最初の頃はアプリ版のWavepadをダウンロードしておいてスマホで音声を流しながら稽古、その場で編集→再生とやっていたんですが、普通にノートPCを持って行った方が画面でかいし編集しやすいということに気が付き、途中からノートPCでのみセリフ音声は扱うようになりました。

 

 

この時の、音声をノートPCで編集する、という作業がのちのちこの作品づくりを決定的に狂ったものへと変えていく一因となるのですが、それはまた別のお話……。

 

 

とにかくこのように、ひたすら台詞の間尺を自分の演技に合わせて変えていき、それを踏まえて演技を変える……というループをひたすら繰り返します。

 

演技を変えると間尺が変わる、間尺が変わると演技が変わる、という……演劇三途の川のごとし……つんでは崩し、崩してはつみ、を繰り返し「もう、ちょっと、いい加減頭を冷やしたい……」「ある程度演技が固まったな」となった頃合いで、もう片方の役を稽古するべく台詞音声を録音し、もう片方の役の稽古を始めます。

 

 

まあでもこのあと、もう片方の役の演技を試行錯誤していくうちに、結局また全部の台詞の間尺が変わり、

 

「あああああああああっああああ!!!!あああああああああ!!!あああああああ!!!?????」

 

となるわけなんですけどね。

 

 そう、普通の稽古場なら、相手役と自分とで臨機応変に数回の稽古で変化するすべてを、いちいち変えていかなければいけない…………恐ろしいほどの手間なんすよ。

 

 

 これが、本来二人でやる芝居を(なぜか)ひとりでやるということなんですよ……。

 

 ともかく、ある程度固まったら録音しちゃいます。

 

 ある程度で大丈夫です。

 

 この段階に限らず、ひとりでの稽古では早い段階での完璧を目指しちゃいけません。きりがなくなるからです。

 本来、他人と稽古していたら否が応にも自分の完璧さやペースは崩されるんですが、一人の稽古場ではそれは起きないので、完璧さを目指すとドツボにハマります

 

 最終版の収録の段階までは、一旦その完璧さは置いておいて……次に向かいましょう。

 

 というわけで、録音です。