アナタサヨナラテポンポン

古屋敷悠と森宇悠の暫定的ブログです。

ひとりの太字の作り方5(波)

  わたくし、ひとりでこんなことをやっておりました。

 

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 本ブログでは、そんな異形の配信演劇の作り方を解説しておりまして、前回まではこちらをご覧いただき……。

 

 

 

fullyashiki.hatenablog.com

 

 

 

 さて、今回からは役を切り替えるべく、録音をしていきます。

 

 基本的に今後の稽古の流れは、

 

 稽古→録音・撮影→役チェンジ

 稽古→録音・撮影→役チェンジ→……。

 

 という流れになるんですが、その第一歩目ですね。

 

 

【稽古二段階目】 

 

所要期間:一回で録音できれば、一回。

使用機材:スマートフォン(音声再生用)もしくはノートPC(音声再生用)※ノートPCを強く推奨します! 理由は後述! 録音用ICレコーダー 、イヤフォン(できればワイヤレスでなおかつ片耳使いできるものが望ましい)

 

 急に使う機材が増えましたね!

 

 今までは、イヤフォンで聴いている音声を聞きながら「ズレてもいいから」芝居を続ける、という手法で片方の役の稽古用音声を作ってきましたが、これからはなるべく「ズレないように」演技をします。

 

 前回までの調整(地獄)の日々で相手役の音声はだいぶ自分の演技に合わせた間尺に変わっているはずなので……なるべくそこに合わせるように。

 

 なにしろ、そうしないと尺がどんどん合わなくなっていってきりがないですし、また個人的にはここで生じる「不自由さ」が作品づくりに必要な気がしてもいるのです。

 

 ひとりの稽古、というのは、当然演技のチェックもひとりでします。

 全部ひとりです。

 なので、気を抜くと自分のやりたいようにしかやらなくなってきてしまう……おそれがあります。

 

 相手役の音声の間尺にあわせる、という枷が一つあることで、そんな自分だけの感性に引きずられそうなところにひとつ変化が生じる…………気がしています。

 まあ気がするだけなんですけど。

 

 そんなわけで、今後も音声相手に稽古をしてその後に音声収録→もう片方の役の稽古という流れは発生するんですが、この稽古用の音声を収録する際はなるべくズレが無いように気を付けて収録してみて下さい。

 

 

 さて、今度の音声収録では、なるべく相手の台詞を食わない台詞終わりに相手の台詞が来るように着地をする、という工夫が必要になってきます。

 

 

 こんなのは普通の稽古場であれば、言わずもがな相手の台詞を聞いて、相手が言いやすいようなペースを心がけて、というコミュニケーションが生じることでうまくいっているはずなんですが、今回に限ってはそれは無理です。

 ひとりだから。

 

 じゃあどうするのか。

 

 「波」ですよ。

 

 よくわかんないですよね。

 

 実際の収録風景をご覧いただいた方が早い気がするので、ハイ、ドン。

 

左:古屋敷悠      右:古屋敷悠

 

 これは作中で、激論を交わしているワンシーンなのですが、編集する前、実際の収録風景はこんな感じです。

 

教員役の収録風景、当然ながらひとり

 

生徒役の収録風景、やっぱりひとり

 

 

 お分かりかと思いますが、二人とも目の前にPCを置いております(赤いPCは小道具です、生きてるのは黒色の方)この画面で演技中の俳優が何を見ているのかというと…………なんですね。

 

 

 波。

 

波、右から左へと流れていく

 

 です。

 

 

 そう、これが相手役の音声の『波』です。

 

 

 音声データを視覚的なグラフにしたやつで、wavepadではデフォルトの機能です。

 この波が右から左へと次々に流れていくんですが、これを使って台詞のタイミングを合わせます。

 

 具体的には、

 

 台詞をしゃべっていて、そろそろ波が来るぞ(相手の台詞になるぞ)と思ったら、自分の台詞のペースをそこに向けて上げるとか……。

 

 また、相手の台詞と自分の台詞をユニゾンさせたりバッティングさせたかったら、わざとその波に自分の台詞を合わせるとか……。

 

 特に長台詞に関してはかなりこの波の存在が重要でして。

 台詞のペースが少し遅かったりすると最後の台詞を待たずに相手の台詞が始まったり、逆に早すぎると無音が続いたり、ということになるので、この波を見ながらうまい具合に台詞のペースを発話しながら調整していきます。

 

 流れていく波を見ながら、相手の波と波の隙間に自分の台詞がうまくはまるようにしゃべっていく……公開当初私はこれを音ゲーやってるみたいな作品」と言いましたが、まさしくビートマニア』とか『太鼓の達人』とほぼ一緒なわけですよ。

 

 

 「そんなキチガイじみた行動、私には無理……」と絶望しかけたみなさん! 大丈夫!

 

 

 もちろん、耳で音声は聞いてます!

 

 それでも合わせられない部分を波で補う、ということです。

 

 稽古音声の録音段階ではまだ普通のイヤホンでもいいんですが、私は本番収録環境のことも考えて、ワイヤレスイヤホンを片耳だけつけてそれで稽古音声を聞いていました。

 

 両耳だと自分の声が聞きづらいのでめちゃくちゃやりにくくて……片耳。

 でも片耳ですら音の感じが普段と違ってやりにくかったので、早いうちから慣れていくことをおすすめします。

 

 そんなわけで、片耳イヤホンと波を駆使して、稽古は進んでいきます……。

 

 …………すでに演劇の稽古らしさは無くなってきてますね。

 

 …………なにやってるんだろう、これ、と感じ始めていますね。

 

 それが(なぜか)ひとりで二人芝居をやるということなんですよ。

 

 

 というわけで、片耳イヤホンと、波の映像を駆使して、相手役の音声に合わせて演じ、自分の役の音声だけを録音していきます……。

 

 そしてそろそろ、声だけではなく動きもつけていくことになるわけですが……。

 

 また次の回で!