アナタサヨナラテポンポン

古屋敷悠と森宇悠の暫定的ブログです。

細切れでも見る

 自分でも終わってるなと思ってはいるんですが、最近まとまった時間を作るのが凄く下手になってきていて、映画とか全然、自宅で観れないの。

 

 もう笑っちゃうぐらい。

 

 仕方ないから筋トレの時とか、電車乗ったときとか、料理作っているときとかに細切れで観てるんだけど。

 

 細切れで観ても面白いものは面白い、

 

 細切れで観るとやっぱり面白さは薄れる、

 

 細切れで見るくらいがちょうどいい面白さ、

 

 この3通りが入り混じって、よくわかんないことになっている映画体験を日々送っています。

 

 とりあえず今はジョン・カーペンターの『ゴースト・ハンターズ』観てんだけど、このわけわからなさは細切れで観てるからなのか、そもそもこういう作品なのか、もうわかんないです。

彼方より

 というわけで、ずっと止まっていたものを動かしている日々です。

 このブログもその一つ。

 いや「ひとりの太字の作り方」は更新したいんだけど、いかんせん「ひとりの太字」を再公開しないことには作り方だけのっけてもなんのこっちゃなので、どうしようかなって状態なんすよ。決して怠けているわけではないんですよ。

 

 再公開については、これはまあ戯曲書いている冨坂さんや有料で公開しているアガリスクさんとも折衝つけなければいけないアレなんで、難しいところなんすよね。

 まあぼちぼち、その辺もやっていかなきゃなんですが。

 

 それとはべつに15分ぐらいの短編動画を作ってはいるんですが、それは単純に撮影場所と撮影方法の目途がつかなくて頓挫しとります。これは余談。

 

 

 さて、冒頭に書いた通り、ずっと止まっていたものを動かしています。

 

 それは、例えばずっと観ていなかった「観なきゃリスト」の映画たちだったり、

 ずっと書かなきゃと思っていた長編の続きだったり、

 ずっとどうにかしなきゃと思っていた体の動作のクセだったり、

 

 そういうものを一個一個、どうにかこうにか動かしている日々です。

 

 30年以上人間生活を続けてこられているので、さすがにコツはもう大体わかっていて、それはつまり、

 

「まずはゆっくり」

 

「まずはちょっとだけ」

 

そして、

 

「なるべくめげずに」

 

この三つなんすよね。

 10代20代のころってこれができない人間だったので、いまわずかながらこれらを実行できているの、自分では感動です。

 武者小路実篤だって言ってましたが、100回矢を外しても懲りずに101回目を射ると、そういう精神で、ゆっくり、ちょっとずつ、めげずに日々を生きていきたいなと思っております。

ひとりの太字の作り方3(稽古の前準備)

 

fullyashiki.hatenablog.com

 というわけで『ひとりの太字』もとい、ひとりで二人芝居の作り方をつらつらと書いていく。

 

こんな動画をつくるためのアレコレです。

 

本編

youtu.be

 

予告編

youtu.be

 

 

○稽古の前準備〇

所要期間:一か月ぐらい
必要な機材:録音機材(スマホで可)、イヤホンもしくはヘッドフォン(片耳だけで聞けるモノを推奨)

 


1、台本を読む
当然と言えば当然なんですが、稽古前にまず台本を読みました。

そもそもこの企画の起こりは、すべての本番が疫病によって中止になってしまいぽっかり心も体も空いてしまったので、いたずらに時間を浪費しないよう自主稽古をしてみる、というところから始まりました。

なので、まだこの段階では明確に二人芝居を一人でやろうという意図はなく、適当に台本読んで「やれねっかな~」と鼻ほじってたぐらいでした。


ただ、台本を読むときのクセで、このときになんとなくの演技プランを練っていたので、そのおかげで後々少しだけ作業がスムーズになりました。台詞の間尺もなんとなくあたりをつけておきました。

これらが後の工程でめちゃくちゃ重要になります。もしやろうとしている方がいるなら漫然と通読するのではなく是非そうしてください。

すべての稽古の大前提ではありますが、こと独りでの稽古においては、ノープランは全くの無意味です。ノープランで稽古始めるぐらいならやらない方がいいと思います。

 

台本を繰り返し読むうちに「やれねっかな~」と適当さを装いつつも、無意識のうちに「やれるなあ……」へと段々と思考が変化していきました。

 


2、音読
台詞を音読してみました。

どちらかの役の台詞だけを、ではなく、台本全体を一人で読むという作業です(っていうかこの先ずっと一人で読む作業しかないんですけどね)
間や、動き、テンポなどをしっかり本番の域で読んでみるというのを意識しました。

 

これは前工程で演技プランと間尺のあたりをつけておいた、というところにも関係するのですが……。

 

まだこの時、僕はどうやって稽古していくかの明確なイメージを持ち合わせていませんでした。

とりあえず、録音したセリフに合わせて相手役のセリフを発話すればどうにかなるんじゃねえかな、という漠然とした流れしか考えていません。

ただ、演技については完全に決め打ちになるだろうということはハッキリ確信していました。当然ながら、録音した素材を使うので、普通の芝居のようにその時々によって反応が変わるということは有り得ないだろうな、という考えです。

 

なので、まあ、稽古の早い段階で演技を固めて、あとはそれをいかに録音と合わせるかをひたすら稽古していくという……会話劇の稽古と言うよりは、ダンスや振付を覚えるのに近くなっていくのかな、となんとなく考えていました。

 

……後々それも甘い読みだったと気が付くんですが。



3、全体音声の録音
 2で練習した台本の音読を録音しました。

何テイクか録ってもいいと思いますが僕はここは1,2テイクくらいで終わらせました。
あくまでこれは稽古前段階の素材でしかなく、ある程度で妥協して先は進まないと、ということです。

このころはまだ録音機材が無かったのでスマートフォンに録音しました。
まだ稽古はできませんでした。

 


4、部分録音①
 3で録音した全体の音読をイヤホンで流しながらそれに合わせてどちらかの役だけを演じ、音声を録音をします。

どちらの役から始めるかは自由です

 

これは慣れないと結構大変かもしれないです。

 

ひとつの役だけに集中してちゃんと読むと、二人分を一度に読んだ全体音読とは間尺が変わると思います。

なのでイヤホンから聞こえてくる全体音読と、自分の発話しているセリフのタイミングが、結構ずれます。

早すぎたり、遅すぎたり、間があったり、台詞が潰されたり……それでもちょっとしたずれであれば気にせず、突き進むことをおすすめします。芝居としてつながっているとか、ミスとか、そんなことは気にしないでいいです。あくまでこれは稽古素材。

 

 

 

 

 

……以上でやっと前準備は終わり。

 

どうです、ここまででもうだいぶ面倒だなあ、と思い始めたでしょう?

 

まだまだ、こんなもんじゃないです。

 

さて、いよいよ稽古を始められます。

 

 

 

始められます?

ひとりの太字の作り方2(簡易版・使用機材など)

 

fullyashiki.hatenablog.com

 

ちょっとまえに「ひとりの太字」という配信用の芝居をつくったので、その作り方を解説していくよ、ということなんですが。

 

とは言っても、急いでいる人もいるでしょう。

 

何せこの世は慌ただしい。生き馬の目をも抜くアレですよ。

コロナだからみんな停滞してるっしょ~と思いきや、なんかよくわかんないうちに停滞していたはずの世界がよくわかんないうちに動き出してるし、家の中にはいたけどみんななんだかんだ前に進んだりしていて超焦る。よくわかんない。

 

だからはやく知りたい。要点だけ、簡潔に。

 

そんな方のために、こちらでは使用した機材とソフト、工程だけを羅列します。

 

制作は、以下の段階を経て完成しました。

 

 

 

〇工程表(?)〇

 

稽古の前準備

・台本録音

・録音音声をもとに役ごとの単独録音

稽古(教員)

・録音音声に合わせて稽古→芝居に合わせて録音音声を修正

稽古(学生)

・同上

……以下、教員と学生の稽古が交互に続く。5か月ぐらい。

収録(教員)

・音声と映像を別々の機材で同時収録、あとで重ねる

・撮影時に色調とフレームレートをいじって撮影

収録(学生)

編集

・映像を半々にして合成

・音のノイズカットなど

・色調いじる

・OP、EDなど諸々つくる

完成、アップロード

 

〇使用した機材とソフト〇

 

機材

iPhone8 (本番映像撮影/稽古音声の録音(前半のみ))

 

ノートPC (稽古時の音声修正/本番時の音声再生=”波”の視認用/映像編集)

※ちなみに学生役の時に眺めているPCは電源はいってません。撮影時は別のノートPCを画面反対側に置いてます。

 

Bluetoothイヤホン (本番時、稽古時の音声再生)

 

ICレコーダー (稽古時、本番時音声収録)

 

三脚 (撮影時使用)

 

 

ソフト・アプリ

Wavepad (音声編集録音ソフト スマホ・PC両方で使用。音声再生とリアルタイム編集)

 

Adobe PremierePro (映像編集ソフト)

 

FiLMiC Pro (iphone用アプリ、撮影に使用、フレームレート・色調などを手軽にいじれて便利)

 

nano loop (スマホで簡単な打ち込み音楽が感覚的につくれるアプリ。冒頭BGM作成に使用)

 

AudioStock (アプリではないですが、作中の楽曲はここから選びました、サブスクが便利)

 

以上です。

 

勘が良い人ならばこれを読んだだけでもうひとりで二人芝居を作れてしまうことでしょう。

是非作ってみてください。いや、別に作らなくてもいいんですけど。

 

もう少し気長に読んでみてもいいかな、という方は次からの記録にお付き合いください。

ひとりの太字の作り方(序文)

ちょっと前に『ひとりの太字』という映像演劇作品を作りました。

 

youtu.be

 

youtu.be

 

二人芝居を一人で演じる、という内容の演劇です。

 

配信でやるからには、生の観劇では観られないものを、と思って何とかやってみました。

ひとりが演じてるのに画面上で二人の人物が会話をし続ける一時間の芝居が出来上がりました。

俳優ひとりで二人芝居、できました。

 

言ってしまえば簡単ですし、やっていることは単純なのですが、それでも……自分で言うのもなんですが……よくもまあこんなことをやったな、というほど面倒くさいアレコレを経て完成まで辿り着きました。

 

思い出すとちょっと具合が悪くなるぐらい、なかなか大変な工程でした。

 

その大変さを誰かに伝えたい。

願わくばその誰かにもこの大変さを味わってほしい。

そしてもしこの作品やこの記録を見て自分も作ってみたいという人がいたなら、その人の一助になればいいな……という色々を詰め込んで。

 

僕の孤独な作業の供養として、「ひとりの太字のつくり方」をしばらくつらつらと、何回かに分けて書いていこうと思います。

 

 

地図はいつも虫喰い

 今年はずうっと自転車に乗ってました。

 

 2月に自転車を買ったんすよ。

 所謂スポーツバイク。クロスバイクというやつで、ママチャリよりは快適で速度も出るけど、ロードバイクには追いつけないという程度の自転車。

 

 購入した時期にはまだまだコロナウィルスについては「外国での疫病流行が拡大しつつあるみたい」程度の温度感だったので、べつにその後に訪れる緊急事態宣言や交通機関使用の自粛などを考えての行動ではなく、ただなんとなく「運動不足解消に新たな通勤手段として使えるかなー」としか考えてはいなかったんですが。

 

 まあーまんまとハマりました。

 今まで生きてきて何かにハマるということがあんまりなかったんですが、現在進行形で沼を進んでおります。

 

 もっと早くこの趣味に出会いたかったとも思うけど、でもおそらくは東京へ出てきて十年ぐらいという今の時期にのめり込んだのが良かったんでしょう。

 

 自転車の良いところは、なんと言っても出発点から地続きに目的地へと行けることだと思います。

 

 家を出て、自転車に乗り、見慣れた町を通り、やがて新しい景色へと進んでいき、辿りつく。自分の世界を、生活圏を拡張していく感覚。

 

 電車やバスによる、ドアからドア、駅から駅への移動ではなく、いま自分がいるところと、いずれ自分が行くところが道をたどるときちんと結ばれるところに、自転車で進む気持ちよさがあります。

 

 今までの自分の頭の中の東京の地図は、自宅→最寄り駅、目的地の最寄駅→目的地、そして目的地周辺……という構成で、その間がすっぽり抜け落ちた小さな地図ばかりが点在していました。

 そのせいか僕は十年ちょっと東京に住んでいていまだに地理に疎い所があるんですが、それが自転車に乗るようになって急激に変わっていってます。

 

 頭の中の空白が埋まって、小さな地図の組み合わせが大きくつながっていく感覚。それはちょうど、脳の中で一つ一つの情報がつながってより強固な記憶になるのとリンクしています。

 

 昨日は通らなかった道、今日まで知らなかった町、いつか通った道、どこかで見た景色、そういうものがつながって一つの地図が出来ていく感覚。

 

 クイズを解いたり、調べ物をしたり、プラモデルを作っていくような、欠落が補完されて完成形へと近づいて行くような快感があります。

 

 しかし、街も世界も動いているもんで。

 今日は通れた道が明日は通れなくなるということも、ままあります。

 昨日まであった景色がどこかへ行ってしまうこともあります。

 

 それでもまあ、その空白にはすぐにまた別の景色が上書きされますし、新しい道が出来ますし、そうなったらそうなったで地図は形を変えていくのでしょう。

 

 おそらくは完成することのない頭の中の地図を埋めるべく、来年も自転車を乗り回せればいいなと思っております。

 

 そんな感じです。

出演予定公演延期のおしらせと、皆さまへのお願い

 生活の片隅からこんにちは。皆さま日々生きておりますでしょうか。古屋敷は生きております。

 

 

 さて、世間は新型肺炎の禍のもと様々な不自由や変化などにみまわれておりますが、私も同様に色々予定や予想や計画に変更を余儀なくされております。

 

 今年、5月と6月、二本の舞台に出演予定ですが、その内5月に出演予定だったアガリスクエンターテイメントの公演が延期となってしまいました。

 

『かげきはたちのいるところ』と言う劇団結成15周年の記念すべき公演でして、そこにゲスト出演させていただけるという光栄な仕事だったんですが、やむを得ず延期です。

 

 しかしあくまで延期は延期、ということで来年の春ごろに(その時の情勢なども鑑みて)公演をする予定に変更、ということでして、その暁には私もまたゲスト出演する予定です。

 

 予定、ではあるんですが。あくまで予定。

 もっとざっくばらんに言っちゃうと、この予定は多分に希望的観測が込められた願望のようなものだと第三者的にはちょっぴり思ってます。

 

 何しろ、一度やる予定だった公演を数か月前に全部ストップして中止するというのはめちゃくちゃ大変なのです。その補填、立て直しが一年で出来るかどうか、ちょっとわかりません。アガリスクの存続自体危ぶまれてんじゃないかと外野から心配しております。

 

 すでに動き出していたセクションへの連絡や支払い、事前準備で必要だった宣伝や事務作業の精算、劇場へのキャンセル連絡とキャンセル料の交渉などなど……。

 よりみなさんに想像しやすく言い換えると結婚式や講演会などが数週間前に中止になってしまった事態を想像していただくとわかりやすいかと思います。

 もしくは部署をあげての大きな契約の数日前に仕事の話自体が無くなってしまい、それまでの見積もり作成やシステム整備、打ち合わせや接待、根回しなどすべてがパア、というような状況。

 

 どんな仕事でもそうですけど芝居も、公演期間、公演本番だけにお金や労力がかかっているわけじゃないということです。

 

 そんな中、アガリスクエンターテイメントでは今回の公演中止に伴う赤字補填と次回の同公演に向けての資金集め――いわゆるクラウドファンディングを始めました。

 

 まずはこちらをご確認いただきまして……。

 

アガリスクエンターテイメント『かげきはたちのいるところ』

公演延期支援プロジェクト(モーションギャラリー内)

https://motion-gallery.net/projects/agarisk_28

 

 

 わかりやすく言うと、1000円、4000円、7000円、10000円、30000円、50000円、100000円、の7段階の金額的支援を募集しております。

 

 もちろん「 リ タ ー ン 有 」です。

 

 支援金と引き換えに、サポーターとしてのお名前の記載劇団Tシャツから登場人物の命名新作コントの作成依頼などなど……のリターンを受けられます。

 

 金額以外にリターン内容でも各支援プランが分かれてますんで併せて10通りの支援プランの中から皆様の懐事情と物好き度に応じた支援をお選びいただけます。

 

 もし目標金額に達しなかった場合も劇団がもらえる割合が変わるだけで一助にはなりますので無駄な支援になることはありません。

 

 また、クレジットカード以外にも銀行振込、コンビニ決済も対応しております。

 

 5月29日の日付が変わるまで、これより約ひと月の間支援募集しておりますので、どうか皆様、お力添えをいただければ幸いです。

 

 またアガリスクエンターテイメントはYoutubeにて多数の公演動画を無料配信しております。

「知らない人たちになぜお金を……」という方はこちらを何本か観てみて気に入ったらおひねり代わりに、というのはいかがでしょう(ちなみに私が出ている公演も観られます)

https://www.youtube.com/user/AgariskEntertainment/videos

 

 また、4月29日以降今回の公演の試作版をネットを介して発表するそうです。

 そちらをチェックしてから「面白そうだな」とポチっていただくなどもいいかもしれません。自粛中の娯楽としてお楽しみいただければと思います。

創作継続のお知らせと詳細

http://kagekiha.agarisk.com/category/blog/news/

 

 もちろん様々な事情や……あと単純に、こいつら誰やねん、こっちも大変なんじゃなんでお前らに金渡さなきゃいけないんじゃ、というご意見や……色々あるのは重々承知ですので、お金云々ではなく、こういうことが東京の片隅で起きたらしい、程度に認識していただくだけでも結構です。

 

 プロジェクト支援じゃなくても情報拡散でもだいぶ助かります。

 

 よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

↓以下はもうちょい細かい事情や僕の思う所など、余韻です。

 

 

 

 

 

「延期なのになんで金必要なの? 延期して公演打つならその時の儲けで賄えばいいじゃん」という意見はあるんじゃないかな、と思ってます。

 

 これは上でも説明した通り、公演本番だけにお金がかかるわけじゃない、というのを想像していただければわかりやすいかと思います。

 延期する、と言っても、話の内容が同じだけで公演自体はまったく別の独立したプロジェクトです。必要な作業、費用はまったく別途にかかってくるわけです。

 

「A社との契約ダメになったから、この契約まんまどっかの会社と結ぶか、そうすりゃあ一本電話してそのまま契約日だけ決めてあと終わりだ」

 

とは普通の仕事でもならんのじゃないのかな、と思いますが、どうなんだろう、なる場合もあんのかな。……あんのかもな。

 

 もしくは「結婚式の準備全部済んだ状態で婚約者に逃げられたけど、式当日までに別の相手見つけてそのまんまのプランで結婚すりゃあギリ行けんな」という場合とかも似てますけど、これはまあ、別にいけますね。いけちゃうな。そしてまあ有り得そうでもあるな。

 

 でもまあ、普通に考えると、宣伝とか、稽古とか、事前の広報とか全部やり直しなんで、一公演分の儲けで二公演分を賄うというのはよほどあり得ないグッズの売れ行きなどにならない限り不可能なんです。……できんのかな。そういうプランありますかね。みんなに教えてあげて。

 

 

 

「お前らが金蓄えとかなかったからいけねーんじゃねえか、そもそも小劇場の経済というのが根本的に間違っていて……」

「一つ公演トンだだけで弱音を吐くんじゃあないよ、根性だよ、橋の下でも芝居はできるじゃあないか」

「みんな辛いんですよ、なんであなたたちだけそういう風にお金を集められるんですか」

……などと言う心温まるアドバイスも、もしかしたら、いただけるのかなと思います。ありがとうございます。勉強になります。人生日々勉強ですね。ありがとうございます。勉強します。世界のあっちの隅とこっちの隅で共に頑張って生きていきましょう!

 

 

 

「なんでお前の劇団じゃないのにお前がこんな宣伝してんの? やらされてんの?」

という素朴な疑問もあるかと思いますが、これはまあ僕が勝手に宣伝していて、理由は打算とエゴです。

 

 今のところ、俳優古屋敷をわりかし気に入って使ってもらってる数少ない(と言うよりほぼ唯一の)劇団なんでアガリスクなくなると僕結構困ります。あとは単純に面白い劇団に少しでも生き残ってもらわないと嫌だからです。

 なので他の劇団や映画やライブハウスなどのクラウドファンディングも本当は僕はどんどんこんな風に宣伝しなきゃなんですけど、いかんせん根が怠け者なんで、まずは自分に関わりが大きいところからがんばって宣伝します。

 

……すいません嘘です、あんまりがんばってないです。逃避入ってます。でも界隈の人以外にこういうのを発信すること、大事よな、とは思ってます。

 

 

 

「そもそもこの緊急時に不要不急で三密まっしぐらの演劇についてうだうだ……そういう状況じゃないでしょう」

 

 ごもっとも……ごもっともでござる……! ぐうの音も出ない……!

 

 ちょっと話は変わるんですが僕は今回の騒ぎにおいては「やらないこと」が最大貢献であることが一番色んな人を不安にさせてるのかな、と思ってます。

 

 多分これ、「みんなが一日一回〇〇する」とか「〇〇を出来るだけ集める」とかならみんなもう少し前向きになれると思うんですけど、いま基本的に「外出しない」「人と会わない」ことが市井の人向けの最大貢献なわけじゃないですか。

 やれることがあって、それを頑張れるとなんとなく充実感とか立ち向かってる感とか生まれると思うんですけど、「何もしない」ことが一番と言われて、ただなんとなく感染者数とか経済の先行きとを眺めているしかないと、めっちゃ不安になると思うんですよね。

 やっぱり、今こそなんかしなきゃ、と思うんですよ。

 

 それで今色んな試みや呼びかけや今できることの議論や……本当にたくさんの人ががんばっているんですけど、でも同じくらい大事なこととして「少し先のことを考える」ということも大事だと思うんです。

 

 この非常事態は日常へとシームレスにつながっていきます。いつか、ある日を境にすべてが大丈夫になることはない、そういう種類のものなんだと思います。

 これから少しずつ日常の形が変わっていくはずです。

 その変わった先、日常が変わったところで何が起きるか、何をするか、ということを考えたり話したりすることも、とても大事だと思います。

 なぜならば、世界が変わっていくのに自分だけ元の世界に戻ることを願っても生き辛いだけだからです。

 この騒ぎの前には社会は戻らないので、ちょっと先のことを話そう。体と頭を馴らしておこう。

 こういう姿勢大事です。少なくとも僕はそう思います。

 「こんな事態に馴れてしまっていいのか」とは僕も思うときあるんですけど、油断せず、しかし馴れていいんだと思います。むしろ新しい生活に馴れていくべきなんです。

 

 今回の「公演延期」というのはそういう意味でも、色んな劇団でこういうことが起きてますけど、それぞれが考えて、その中で出した「今できるちょっと先のことの答え」としてすごく重要なことだと思います。

 

 いつかわかんないけど、やります。

 というのは即ち、

 いつかわかんないけど変わってしまった世界の中でやろう、という決意だと思うんです。

 

 それぞれに状況は変わるけど、もう一度集まる約束として公演を掲げる、というのは、やる人にとっても見る人にとっても大事な「ちょっと先のこと」だと思います。

 

「今は今後の娯楽について話している場合なんかじゃない」ごもっともなご意見です。他にももっと、今やること、目の前のこと、考えるべきこと、あると思います。やれるかどうかもわからない延期公演の話なんて、その中では優先順位は多分、低いです。

 

 でも僕は個人的に「ちょっと先のことを話す」ということもまた重要だと思っていて、その内の一つとして、僕個人の、この騒ぎを抜けた先の「ちょっと先の決意」としてこのクラウドファンディングを宣伝いたします。

 あくまで個人的なもんです。殊更これが絶対的に正しいと思ってるわけじゃありませんし、もっと大事なことはたくさんあると承知しております。

 

 ただ、休業自粛しても飲食店はもし再開できたらどんな料理を作るか考えていると思いますし、ボディビルダーたちはジムで思いっきりマシンをブン回すことを夢見ていると思います。そういう、この先のことを抜きにして人はなかなか踏ん張れないもんです。大げさに、希望、と言ってもいいのかもしれないです。

 

 僕は僕の今の踏ん張りとしてこの「ちょっと先」に向けての話をさせていただきました。

 

 こういう人もいるんだなあ、と思っていただければ幸いです。